仕事が一段落ついてボクは帰る準備をする。今日も疲れたな。そう思った瞬間凄く疲れた気がして、体の節々が休もうと訴えている。だけど、そんなに疲れているのになんだか無性にさんに会いたくなる。いや疲れているからこそかもしれない。さんに会って疲れを癒したい。そんなこと彼女に言ったら笑われるだろうか。笑うだろうな。苗木くんもそんなこと言うんだとかなんとか言って。でもそんな風に笑う彼女が見たくてボクは携帯を取り出した。
取り出した携帯は1つの通知を知らせていた。5分ほど前に来ていたショートメールの相手はさん。内容はただ一言「今から会えませんか」。
まるでボクの心の中を読まれたようでドキリとする。ドキドキと色んな意味で早く動く心臓を落ち着かせながら返信する。「いいけど、どうして?」 ボク少し卑怯かもしれない。ボクはさんから「苗木くんに会いたいと思った」というようなことを言わせたいのだ。ボクって結構貪欲なんだな。初めて知る自分の一面にに苦笑する。彼女からの返事はすぐ来ていた。
「仕事つかれたと思ったらすごく寂しくなって。だから」
だから、の続きは書かれていなかったけれどその先は容易に想像が着いた。だから会いたいと思って。最後まで言わなかったのは照れ屋の彼女らしい。何より彼女がボクと会いたいと思ってくれた理由が一緒なのがなんだかとても可愛らしくて嬉しくて浮き足立って居られなかった。
「ボクも会いたい」ボクはそう返信してその場を飛び出した。