目を覚ますと広い部屋だった。当たりを見回すと苗木くんが爆睡している。
「苗木くん、おきて!」
「う、…うーん…って、どこだここ!」
 突然の謎の部屋に寝ぼけていた苗木くんの意識は直ぐに覚醒したようだ。
「わからない…苗木くん、心当たりは?」
「僕もわからないかな…」
「そっか…」
 当たりを見回すが扉はひとつしかない上に固く施錠されているようだ。
「扉は一つだけ、しかも出られない…」
「もしかすると絶望の残党の策略かもしれない。さん、何があるか分からない。気をつけよう」
「分かった」
 そう言って頷いて当たりを再度見渡すと、先程はなかった紙が1枚落ちているのに気づく。
「さっきはなかったのに…なになに?『ここはお題をこなさないと出られない部屋です。苗木くんとさんの2人でこなして貰います。これは2人でやらなければクリアとは見なされません』……はぁ。それで肝心のお題は…ってうわぁ!?」
 爆速で持っていた紙を苗木くんに奪い取られる。何事かと苗木くんを見ると、何故か苗木くんの顔が真っ赤だった。
「な、苗木くんどうしたの」
さん、この紙のことは忘れよう」
「え、でもお題をやれば出られるって」
「わ、す、れ、よ、う!!」
 顔をさらに真っ赤に染めあげながら、凄まれると流石に申し訳なくなり何も言えなくなる。何がそんなにダメなんだろう…?
 しかし、他に出口を探そうにも突然出てきた紙以外に手がかりはなく。結局、私は苗木くんに再度話しかけるのだった。
「やっぱりお題をこなすしかないと思うよ?」
「で、でも、」
「なんでそんなに苗木くんは嫌なの?」
「だ、だって、……大体こういうお題っていやらしいやつばっかりじゃないか……」
「?」
 ごめん、苗木くん。最後の方小声で分かりずらかった。
が、その恥ずかしそうに小さくなってる苗木くんの隙を付き、即座に紙を取り戻す。
「えいっ」
「わわっ、さんダメ!」
「えっと、なになに?『2人でレミオロ〇ンの〇雪を熱唱すること』……なにこれ」
「えっ」
 苗木くんがピシリと固まった。まあ、こんなお題訳分からないよね。
 突然、粉〇のイントロが流れ出す。どこからか歌詞カードが出現していた。
 これは……歌うしかないな?

 数分後、無事脱出できた私たち。
「簡単なお題で良かったね!声枯れかけたけど」
「アハハ…ソウダネ…ちょっぴり期待したボクがバカだったよ…」
「え?何?」
「何でもないよ…」