「結局結婚できませんでしたね」
 ニヤリと笑って今何歳ですっけ? と憎まれ口を叩くLに同い年でしょうがと怒りを込めて返せば意地の悪い笑みが返答として返ってきた。
「そうね。どっかの甲斐性なしさんが貰ってくれないもの」
 皮肉たっぷりに返してやれば、笑みから反転、不機嫌そうなジト目から手厳しいですねと不貞腐れるLにふふんと笑ってやる。仕掛けてきたのはそっちなのだから、このくらいの仕返しくらい良いだろう。
「そうですね……。それではこの案件が終わったら私たち結婚してみましょうか」
 Lの思わぬ反撃に思わず抱えていた書類を落とす。慌てて拾ってLの方を見て見れば、彼の跳ねた紙に隠れた耳がかすかに赤く染まっていた。これは彼なりのプロポーズなのだろうか。それにしてはちょっと要らない言葉も引っ付いていたけど。
 私はクスリと笑う。そういうのって、若い子の間じゃ死亡フラグって言われるんじゃないかしら。そんな照れ隠しの憎まれ口が今にも緩みそうな口元から逃げ出さないようキュッと口を固く結んで、それは楽しみね。とLに素っ気無く返しながら、手元の書類―キラ事件について纏められた書類を再度Lの手元へと持ち運んだ。