またね、と夕日の中でさんが笑う。
 ボクはこの“また”が果たされないことを知っている。だってこれは夢なのだから。この後、彼女はいなくなってしまった。みんなで探したけれど、どこにもいなくて。だからこのまたねが果たされることはない。それでもボクがこうして彼女との最後を夢見るのは、この“また”が来るんじゃないかって淡い期待を抱いているからに他ならない。果たされないことを知りながらまたねを期待するのはとても苦しい。それでもボクはこの夢でいつもこう言うのだ。
「またね、さん」
 よく言うよ。現実には“また”がないことなんてよくわかってるくせに。