「鳴上くーん、お腹すいちゃったー」
「お、もうそんな時間か。何食べたい? 和食洋食中華なんでもいいぞ。腕によりをかけて作るからな」
「作れる料理のレパートリーが広すぎる……。じゃあ麻婆豆腐がいいな」
「分かった。出来るまでどこか座って待っててくれ」
「そんな、手伝うよ。待つだけって悪いし」
「……いや大丈夫だ。いいよ座ってて」
「え、そんな気にしないでよ。鳴上君ほどじゃないけど、私、料理は人並みにはできるつもりだよ」
「違うんだ……、お前を信じてないわけじゃないんだ……。でも俺はもう二度とあんな思いを……」
「鳴上君?」
「ウッ……あの日のカレー! 思い出すだけでも吐き気が! 悪い、そっとしておいてくれ!」
「え? 鳴上君!? 戻ってきてー! 鳴上くーん!?」