「お前また実習でズッコケたって聞いたぞ」
「うう、面目ない…」
「鎌を扱う腕はピカイチなのになんでそんなに随所でやらかすんだか。だからへっぽこ鎌職人って言われてるんだぞ」
「そ、そういう日向君はさっきの実習どうだったの?」
「俺か?俺はちゃんと終わったけど」
「終わってないと思ったのにー! わーん、裏切り者ー!」

「日向クンとさん、何話してるんだろう」
「むむ、何話してるか気になるなんてもしかして嫉妬ですかな?」
「え、あ、いやっ嫉妬とかそんなんじゃ……。……嫉妬、かもしれないけど」
「ふふ、そっか。主人想いの鎌が居てちゃんは幸せものだね」
「そうかな……ボクまだまだへっぽこ鎌なのに」
「へっぽこでもいい、と思うよ。だってまだまだ成長出来るってことでしょ? 一緒に成長し合えることはきっと嬉しいことだから。それに……」
「?」
「数ある職人、鎌の中でお互いを選んだんだから、きっとね、二人は運命なんだ、と思うよ?」
「……。そうかな」
「苗木くん、顔真っ赤だよ」
「……七海さんのせいだよ」