右右右上A下B。
 慣れた手付きでボタンを押していく。
 苗木君に貰った携帯ゲーム機。これがなかなかに面白くてやめられない。ゲームの音量がうるさくないように私の耳に伸びるイヤホン。だから少し前に響いていたコンコンという軽いノック音に気が付いたのは結構後のこと。

「ボクと会うときはゲーム禁止!」
 
 そして見たのは不貞腐れた彼の顔。
 これをくれたのは君じゃない。なんて文句は胸にしまって、嫉妬している可愛い彼氏のご機嫌取りへと私は勤しんだ。