自惚れてもいいですか

 文化祭の買い出し係。私の祈りは虚しく私と桑田君が買いに行くことになった。本当は苗木君と一緒が良かったななんて思うけどもうすでに後の祭りで、私はしょんぼりと肩を落とす。
「何か悩み事?」
 そう問いかけるのは苗木君。本当は君と一緒に買い出しに行きたかったなんて本音は言えることなく、適当に誤魔化す。私が浮かべる苦笑いに対して苗木君の眉根は顰められた。
「これから桑田クンと買い出しに行くんだよね」
 苗木君の言葉は気のせいかいつもより静かだ。私は彼の言葉に籠りながらうんと頷く。
「本当はボクが行きたかったな、なんて」
 はっと見上げれば悲しみとほんの少しの嫉妬のような複雑な表情を浮かべる苗木君。
 それって、その意味って、私自惚れても良いのかな。
 そう紡ごうとした言葉は遠くで私のことを呼ぶ桑田君の声に掻き消されていく。

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