夢の続きを現実で

今日は良い夢を見た。思わず鼻歌を歌ってスキップで歩いていきたくなるくらい足取りは軽やかだ。本当はまだ眠ってもう少し続きを見たかったけれど、もう学校に行かないといけなかったし、夢はちょうどいいところで終わってしまうものだから仕方がない。
「なんだか今日はご機嫌だね」
 掛けられた声に私は返す。
 今日見た夢でね、苗木君と仲良くお話出来て。
 夢見心地で話せば、声の主は面食らったような声を出してたじろぐ。
「ボクの夢を見てくれたってこと?」
 その声を聴いて私はようやく声の主を理解する。苗木君。今日夢に出てきたその人だったということを。
 血の気が引いていく頭。夢見心地が冷めたような気がして一瞬で目が覚める。しどろもどろになって何も言えなくなる私。でも、そんな状況から私を救ってくれたのは苗木君その人だった。
 「もし良かったら正夢にしない?」照れくさそうに言う彼の姿にまた夢のような感覚に陥るような気がした。ううん、違う。今度は現実だ。夢のような、夢よりも嬉しい現実がそこにあった。